
お口の健康は、全身の健康の入り口です 〜最新のデータから分かること〜
「ただの虫歯」「歯周病」と思って放置していませんか?お口の中の病気は、時に全身を脅かす原因になることがあります。最新の研究データに基づき、私たちが知っておくべき重要なポイントをお伝えします。
1. 歯の炎症が、全身に広がる怖さ(歯性感染症)
お口の中の虫歯や歯周病の炎症が、顎の骨を突き抜け、喉や胸へと広がってしまうことがあります(歯性感染症)。これを放置すると、緊急入院や手術が必要になるケースもあり、特に働き盛りの中高年の方や、お一人暮らしの高齢者の方に多く見られます。
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持病がある方は特に注意:糖尿病(HbA1cが高い状態)や低栄養(アルブミンが低い状態)の方は、お口の感染が急速に広がりやすく、重症化するリスクが極めて高くなります。お口の中の感染が命取りになりかねません。
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「薬だけ」では治りません:抗菌薬(抗生物質)だけに頼るのではなく、早期に歯科医院を受診し、膿を出すなどの外科的な処置と、原因となっている歯の治療(抜歯など)を行うことが救命の鍵となります。早期の受診なら数千円で済む治療が、重症化してICU(集中治療室)での管理になると、数百万の医療費がかかることもあります。
当院の体制: 当院ではCTを完備しており、顎の骨の状態や炎症の広がりを立体的に精緻に診断することができます。早期発見と適切な診断で、重症化を未然に防ぎます。
2. 骨の薬と顎の骨のトラブル(MRONJ:薬剤関連顎骨壊死)
骨粗鬆症やがんの治療で特定の薬(ビスホスホネート製剤やデノスマブなど)を服用・注射している方は、顎の骨が壊死(血流が悪くなって骨が死んでしまうこと)する「MRONJ」という病気を発症するリスクが、わずかですがあります。
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抜歯よりも「お口の中の感染」が危険:以前は「薬を飲んでいる時の抜歯」が原因と考えられていましたが、最新のデータでは、抜歯そのものよりも、抜歯の原因となった重度の歯周病や根尖性歯周炎(歯の根の先の炎症)による感染が、顎骨壊死の本当の引き金になることが分かってきました。また、合わない入れ歯による粘膜の圧迫から始まるケースもあります。
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「薬を休む」ことのデメリット:以前は抜歯の前に骨の薬を休む(休薬)ことが行われていましたが、現在は、休薬によって骨密度が低下し、大腿骨(太ももの骨)などの骨折リスクが高まるデメリットの方が大きいとされています。休薬によって顎骨壊死の発症率が下がったという明確な証拠はなく、現在は「原則として、抜歯に際して薬は休まない」というのが世界の標準的な考え方(コンセンサス)です。
当院の体制と治療: MRONJは、洗浄や抗菌薬などの「保存的治療」よりも、壊死した骨を外科的に取り除く治療の方が、治癒率が有意に高く(80〜90%以上)、QoL(生活の質)の回復も早いことが分かっています。
3. 地域医療との強固な連携で、あなたを守ります
お口の中の病気で全身状態が心配される場合や、MRONJのように専門的な治療が必要な場合、地域歯科医院と基幹病院との連携が、重症化を防ぐ最強の防御策です。
当院では、以下の基幹病院と強固な連携体制を築いています。
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東北大学病院
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仙台徳洲会病院
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JCHO仙台病院
必要に応じ、これらの病院の口腔外科へ迅速に紹介し、より高度で専門的な医療がスムーズに受けられるよう手配いたします。お口のことで不安ながある方は、どうぞ安心して当院にご相談ください。
