
子どものお口の健康は、一生の宝物
〜乳幼児健診・学校歯科健診の最新データから〜
「昔に比べて子どものむし歯は減った」と言われますが、実は今、子どものお口の環境は「新たなステージ」に入っています。
とみここ(乳幼児健診)や富谷第二中学校の校医を担当する院長の視点から、最新の解析データに基づいた「今、大切にしたいポイント」をお伝えします。
1. 「むし歯がない」のその先へ:乳幼児期(1〜3歳)
かつては「むし歯を見つける場」だった健診は、現在「健康な成長を確認し、維持する場」へと変わりました。
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1〜3歳が一生の土台:この時期の管理が、生涯にわたる口腔健康の基盤を決定します。
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「食べ方・話し方」のチェック:むし歯がなくても、「正しく噛めない」「飲み込めない」といった課題を抱える子が一定数存在します。
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口呼吸(いつも口が開いている)のサイン:口呼吸は上顎の発達を妨げ、将来的な歯並びの不正やアデノイド顔貌のリスクを高めます。
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指しゃぶりと歯並び:3歳児健診で指しゃぶりが続いている群は、そうでない群に比べ、前歯が噛み合わない「開咬(かいこう)」の発生率が有意に高いことがわかっています。
地域で見守る「セーフティネット」として
乳幼児健診は、ご家庭の困りごとを支援し、すべての子どもが平等にケアを受けられるようにするための大切な機会です。
2. 思春期の変化とリスク:学童・思春期
中学校・高校へと成長するにつれ、むし歯以外のリスクが顕著になります。
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中高生の20〜30%が「歯肉炎」:思春期のホルモンバランスの変化や生活習慣の乱れが影響しています。放置すると将来の歯周病に繋がります。
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お口の機能未発達:授業中や日常で「口がいつも開いている」状態は、全身の成長に悪影響を与える実態がデータ化されています。
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運動中の受傷に注意:小学校に比べ、中学校以上では体格の向上に伴い、部活動中の衝突などで「歯槽骨骨折」や「歯の完全脱落」といった重症例が増える傾向にあります。
3. 「格差」をなくし、すべての子どもに健康を
最新のデータでは、むし歯が一部の子どもに集中する「二極化」が鮮明になっています。
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社会経済的要因の影響:家庭の経済状況や地域環境が、子どものお口の健康状態と強く相関しています。
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「痛くないから」と放置しないで:学校健診で「要受診」と判定されても、実際に受診する割合は50%前後に留まっています。放置されたむし歯は数年後に重症化し、治療費も跳ね上がってしまいます。
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「よく噛む」ことが脳を育てる:よく噛んで食べる「食育」は、肥満予防だけでなく、歯並びを支える顎の骨の成長や、脳の発達に寄与することがわかっています。
院長よりメッセージ
当院は、「とみここ」および富谷第二中学校の校医での健診を通じ、地域の子どもたちの成長を長く見守っています。
学校や地域での健診は、単なるスクリーニングではなく、お子様の生活の質(QoL)を監視する大切なセンサーです。検診結果をもとに、その後の「予防」へと繋げることが将来の健康への近道となります。
「健診で紙をもらったけれど、どこに行けばいいかわからない」「むし歯はないけれど、口呼吸が気になる」といったお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。
