がん手術・治療を受ける方へ:お口のケアが「治療の成功」と「早期回復」を支えます

これから手術や抗がん剤治療、放射線治療を受けられる患者様へ。

実は、手術前にお口の中を清潔に整える「周術期口腔機能管理(しゅうじゅつき・こうくうきのうかんり)」が、治療の経過を大きく左右することが最新の研究でわかっています。

1. 手術後の「肺炎」リスクを大幅に下げます

全身麻酔による手術中や術後は、お口の中の細菌が肺に入り込み、「術後肺炎」を起こすリスクがあります。

  • 肺炎の発症率を10〜20%減少: 手術前にお口をクリーニングすることで、肺炎などの合併症を劇的に減らすことができます。

  • 早期退院が可能に: 合併症が減ることで、平均的な入院日数が数日間短縮され、より早くご自宅へ戻れる可能性が高まります。

2. 「がん治療」を最後までやり遂げるために

強い抗がん剤や放射線治療を行うと、副作用でひどい口内炎(口腔粘膜炎)ができることがあります。痛みのために食事が取れなくなったり、感染症によって治療を中断せざるを得ないケースも少なくありません。

  • 治療の完遂をサポート: お口の環境を整えておくことで、粘膜炎を軽く抑え、「痛みで食べられない」「感染症で治療を休む」といった事態を防ぎます。

  • 栄養状態の維持: しっかりお食事を摂り続けることが、病気に立ち向かう体力と免疫力を維持することに繋がります。

3. 数年後の「生存率」にも影響します

大規模なデータ解析により、手術前後に歯科が介入した患者様は、介入しなかった患者様に比べて、手術数年後の生存率が高いという驚きの結果が出ています。

これは、お口の管理によって栄養状態が保たれ、がん治療のスケジュールを予定通り完遂できることが大きく寄与しています。


当院ができること

私たちは、医科の主治医の先生と連携し、患者様が安心してがん治療に専念できるようサポートいたします。

  • 手術前の徹底的なお口のクリーニング

  • ぐらついている歯の固定(手術中のトラブル防止)

  • 治療中の口内炎への対策とセルフケア指導

「お口は全身の入り口」です。

最高の状態で手術・治療に臨めるよう、まずは当院へご相談ください。


保険診療での「お口のケア」の流れ

病院(医科)と歯科医院が連携して、あなたの治療をサポートします。この流れはすべて保険診療で行うことができます。

① 病院からの紹介

手術を受ける病院の先生から「紹介状(診療情報提供書)」を受け取ります。これには手術の内容や、注意すべき持病などが記載されています。

② 手術前の歯科受診(目安:手術の1〜2週間前)

歯科医院で以下のようなチェックとケアを行います。

  • お口のチェック: グラグラしている歯がないか(全身麻酔の管を入れる時に危険なため)、感染源になりそうな場所はないかを確認します。

  • プロによるクリーニング: 肺炎の原因となる細菌(歯垢・歯石)を徹底的に取り除きます。

  • セルフケア指導: 入院中、ご自身でどうやってお口を清潔に保つかをお伝えします。

③ 入院中・手術後のケア

入院中もお口のトラブルがないか、病院の歯科や地域の歯科医院が連携して見守ります。

④ 退院後のフォロー

無事に退院された後も、お口の健康を維持することで全身の体力を回復させ、再発防止や健康維持につなげます。


患者様へのメッセージ

「手術を前に不安な時に、なぜ歯の治療まで?」と思われるかもしれません。しかし、お口を整えることは、手術の成功率を高め、あなたの一日も早い回復を支える「立派な手術準備」のひとつです。

私たちは病院の先生としっかり連携して、あなたが安心して手術に臨めるよう全力でサポートいたします。紹介状をお持ちの上、お気軽にご相談ください。