手術を受ける方へ:お口のケアが「回復」を早めます

手術が決まった際、医師から「歯医者さんに行ってきてください」と言われることがあります。これを「周術期口腔機能管理(しゅうじゅつき・こうくうきのうかんり)」と呼びます。

なぜ手術にお口のケアが必要なのか? 日本中の膨大な診療データを分析した結果、驚くべき効果が明らかになっています。

データが証明した「お口のケア」3つのメリット

  1. 肺炎などの合併症をぐんと減らす

    手術中や手術後は、お口の中の細菌が肺に入り込み、「肺炎」を起こしやすくなります。データ解析の結果、事前に歯科でお口をきれいにした患者さんは、術後肺炎のリスクが大きく下がることが証明されています。

  2. 入院期間が短くなり、早く自宅へ帰れる

    お口の中が清潔だと、手術後の回復がスムーズに進みます。その結果、余計な薬を使わずに済み、予定よりも早く退院できるケースが多いことがわかっています。

  3. がん治療などの「完遂」をサポートする

    抗がん剤治療や放射線治療は、お口の中にひどい内炎(粘膜炎)を作ることがあります。痛くて食事が取れなくなると治療を中断せざるを得ませんが、歯科がサポートすることで、最後まで治療をやり遂げられる確率が高まります。


保険診療での「お口のケア」の流れ

病院(医科)と歯科医院が連携して、あなたの治療をサポートします。この流れはすべて保険診療で行うことができます。

① 病院からの紹介

手術を受ける病院の先生から「紹介状(診療情報提供書)」を受け取ります。これには手術の内容や、注意すべき持病などが記載されています。

② 手術前の歯科受診(目安:手術の1〜2週間前)

歯科医院で以下のようなチェックとケアを行います。

  • お口のチェック: グラグラしている歯がないか(全身麻酔の管を入れる時に危険なため)、感染源になりそうな場所はないかを確認します。

  • プロによるクリーニング: 肺炎の原因となる細菌(歯垢・歯石)を徹底的に取り除きます。

  • セルフケア指導: 入院中、ご自身でどうやってお口を清潔に保つかをお伝えします。

③ 入院中・手術後のケア

入院中もお口のトラブルがないか、病院の歯科や地域の歯科医院が連携して見守ります。

④ 退院後のフォロー

無事に退院された後も、お口の健康を維持することで全身の体力を回復させ、再発防止や健康維持につなげます。


患者様へのメッセージ

「手術を前に不安な時に、なぜ歯の治療まで?」と思われるかもしれません。しかし、お口を整えることは、手術の成功率を高め、あなたの一日も早い回復を支える「立派な手術準備」のひとつです。

私たちは病院の先生としっかり連携して、あなたが安心して手術に臨めるよう全力でサポートいたします。紹介状をお持ちの上、お気軽にご相談ください。