口の粘膜はタバコの煙が最初に触れるところなので、影響が大きいです。歯周病や歯肉へのメラニン色素沈着、傷の治りが遅れるなどの原因となります。その煙には約4000種類の化学物質が含まれ、そのうちの約250種類が有害で、タールなどの発がん性物質は約70種類と言われています。脳にはニコチンと結合することによって快感を覚える受容体があるため、タバコをやめられなくなるニコチン依存症につながります。ニコチンは、口腔内粘膜や皮膚からも吸収される極めて吸収の良い物質で,煙を吸い込んで数秒以内に脳血管障壁を通過して脳細胞に達します。定期的にニコチン摂取を繰り返すと,ある時期以降には脳細胞は喫煙してニコチンを吸収することでようやく以前と同レベルの活動を維持するようになります。これが「ニコチン中毒」「ニコチン依存」と呼ばれている状態です。煙に含まれる有害な化学物質は、体内に炎症を引き起こしたり、活性酸素を発生させたりします。この活性酸素から細胞や組織を守る抗酸化作用を持つものが、ビタミンA(βカロチン)ビタミンCビタミンEです。タバコを吸うことによって、こられの栄養素が体内で大量に消費されて不足するため、歯周病をはじめ、全身に様々な影響が出ます。歯肉はタンパク質でできているため、タンパク質も積極的に摂取しましょう。サプリメントやプロテインを利用しても良いです。

ビタミンAを多く含む食材:にんじん、卵黄、かぼちゃ、春菊

ビタミンCを多く含む食材:柑橘類、ピーマン、いちご、緑茶、いも

ビタミンEを多く含む食材:大豆、卵、ナッツ、アボガド、ごま、かぼちゃ、モロヘイヤ

タンパク質を多く含む食材:肉、魚、卵、大豆、ブロッコリー

タバコをよく吸う人に共通してみられる配列の違いをゲノム全体で解析したところ、特に関連性が高かったのは、肝臓で働くニコチン分解酵素などの遺伝子のそばにある配列でした。こうした配列の特徴を持つ人は、もともとタバコを吸うと依存しやすい体質だとみられます。

医科の禁煙治療を行うこともおすすめします。健康保険を使った標準禁煙治療は、12週間に5回のプログラムです。内科循環器科、心療内科、婦人科など、さまざまな診療科でも禁煙治療が受けられます。禁煙外来を設けてある病院もあります。

禁煙治療の内容は以下の通りです。

  • ニコチン依存度の判定:問診などでどれだけニコチンに依存しているか判定します。(富谷中央病院web参照)
  • 呼気一酸化炭素濃度測定:吐く息がたばこによってどのくらい汚れているか検査します。
  • ニコチン依存度に合わせた処方:状況によって貼り薬や飲み薬を処方します。貼り薬のニコチンパッチと飲み薬のバレニクリンが使えます。また一般医療用医薬品としてニコチンガムとニコチンパッチが薬局・薬店で市販されています。
  • 禁煙に対するアドバイス:禁煙を楽にできるためのコツをお伝えしたり、禁煙に対する想いや不安を聴取します。施設によっては専任の看護師がカウンセリングを行います。