オーラルフレイル(口腔機能低下症)とは?

「お口の機能が少しずつ衰えていく状態」のこと。 50代を過ぎた頃から、加齢や持病、お薬の影響、栄養不足などが原因で、お口のトラブルが増え始めます。

放置するとどうなる?

  • うまく噛めない(咀嚼障害)

  • 飲み込みにくい(摂食嚥下障害)

  • 全身の健康悪化につながる恐れも…

「最近、食べこぼしが増えた」「むせやすくなった」と感じたら、早めのケアが大切です。

※50歳未満の方でも、持病などの影響で生じることがあります。


お口の衰えは「全身の病気」への入り口です

最近、「食べこぼしが増えた」「滑舌が悪くなった」「硬いものが噛みにくい」と感じることはありませんか?

これらは「オーラルフレイル(お口の衰え)」のサインかもしれません。単なる加齢だと思って放っておくと、実は全身の健康に大きな影響を及ぼすことがわかってきました。

知っておきたい「お口の衰え」が招くリスク

最新のデータ(リアルワールド解析)によると、お口の機能が低下している人は、健康な人に比べて数年後に以下のリスクが高まることが判明しています。

  • 全身の筋肉が衰えるリスク: 2.4倍

  • 要介護認定を受けるリスク: 2.3倍

  • 死亡リスク: 2.1倍

「口の衰え」は、ただ食事がしにくくなるだけでなく、全身の衰え(フレイル)を加速させる最初の入り口なのです。


負の連鎖を断ち切りましょう

お口の機能が落ちると、次のような「負のサイクル」に陥りやすくなります。

  1. 社会的な孤立: 食べこぼしや滑舌の低下を気にして、外食や会話を避けるようになる。

  2. 栄養不足: 噛む力が弱まり、柔らかいもの(炭水化物など)ばかり食べることで、筋肉を作るタンパク質やビタミンが不足する。

  3. 全身の筋力低下: 栄養不足により全身の筋肉が落ち(サルコペニア)、歩行困難や寝たきりへとつながる。

特に「舌の筋力」と「全身の筋力」には強い関係があります。舌の力を測ることは、全身の筋肉が衰えていないかをチェックする重要な指標にもなるのです。


「今」始めれば、お口も全身も若返ります!

オーラルフレイルの大きな特徴は、「早めに気づいて対策すれば、元の健康な状態に戻れる」ということです。体が本格的に衰えてからでは回復が難しくなりますが、お口の段階ならまだ間に合います。

当院では、患者様の健康な未来を守るために以下のサポートを行っています。

  • 専門的な口腔ケア: プロによるクリーニングでお口の環境を整えます。

  • お口の筋力トレーニング: 「あいうべ体操」や「パタカラ運動」など、お口の機能を高める簡単なコツをお伝えします。

  • 定期検診の推奨: 定期的に通院している方は、誤嚥性肺炎による入院リスクが低く、結果として将来の医療費や介護費を抑えられることも証明されています。

「一生おいしく食べ、楽しく会話する」 そんな当たり前の幸せを長く続けるために、まずは私たちと一緒に「お口のチェック」から始めてみませんか?

当院のオーラルフレイル検査(口腔機能低下症の検査)

お口の機能がどのくらい維持されているか、最新の機器と専門的な基準でチェックします。

【主要な3つの精密検査機器】

当院では、専用の機器を用いて客観的な数値で診断を行います。

① 口腔水分計(お口の乾きチェック)

  • 内容: 舌の水分量を測定します。

  • 低下している場合: お口の乾燥(ドライマウス)が疑われます。

  • 改善策: お薬の確認、水分補給のアドバイス、唾液腺マッサージ、保湿剤の使用などで改善を目指します。

② 舌圧計(舌の筋力チェック)

  • 内容: 小さな風船を舌で押しつぶし、舌の力を測定します。

  • 低下している場合: 飲み込む力が弱くなっている可能性があります。

  • 改善策: お口のトレーニング(機能訓練)を行います。必要に応じて、舌の動きを助ける装置(舌接触補助床)の製作も検討します。

③ 咀嚼(そしゃく)能力検査装置(噛む力チェック)

  • 内容: 専用のグミを20秒間噛んでいただき、噛む力を数値化します。

  • 低下している場合: 食べ物を細かく砕く力が弱まっています。

  • 改善策: トレーニングのほか、歯周病治療、入れ歯や被せ物の調整によって、しっかり噛める状態へ整えます。

【その他の重要な検査項目】

機器による検査以外にも、以下の項目を総合的に評価します。

④ お口の清潔度: 舌の汚れ(舌苔)をチェック。汚れがある場合は舌ブラシの清掃指導を行います。

⑤ 噛み合わせ: 現在しっかり機能している歯の数を数えます。

⑥ お口の動き(パ・タ・カ検査): 「パ・タ・カ」と連続して発音し、お口と舌の動きを確認します。

パ 唇を閉じる動き:食べ物の取りこぼしに関わります。

タ 舌の先を上の前歯の裏につける動き:食べ物をすくいあげたり、食べ物を舌で奥へ送り込む動きに関わります。

カ 舌の奥を上顎へとつける動き:食べ物を口の中に保持する動きに関わります。

⑦ 飲み込みの評価: アンケート形式で、現在の飲み込みの状態を確認します。


 

診断とアフターケアについて

上記の7つの項目のうち、3つ以上が基準値以下の場合、「口腔機能低下症」と診断されます。

  • 改善トレーニング: 低下している項目に合わせたオーダーメイドの訓練メニューをご提案します。

  • 継続的なサポート: 3ヶ月に一度の再検査で効果を確認し、毎月の定期検診でトレーニングの進み具合を丁寧にチェックしていきます。

[トレーニングの内容はこちらをクリック]

飲み込む力を守る!今日からできる3つの習慣

1. 「力強い咳払い」を習慣にする

「んっ、んっ!」と意識的に咳払いをしてみましょう。

  • なぜ?: のどの奥に食べ物が入ってきそうになったとき、それを押し戻す「吐き出す力」を鍛えることができます。

2. カラオケで「大きな声・裏声」を出す

口を大きく開けて歌うだけでなく、高い声(裏声)や力強い声を出すのがポイントです。

  • なぜ?: のど仏を上下に動かす筋肉が鍛えられ、飲み込むときに喉の「フタ」がしっかり閉まるようになります。

3. 重い荷物を持つときに「エイッ!」と声を出す

買い物袋などを持ち上げる瞬間に、声を出して踏ん張ってみましょう。

  • なぜ?: 声を出すことで喉がグッと閉まります。この「喉を強く閉じる力」が、食べ物が誤って気管に入る(誤嚥)を防ぐ力に直結します。