歯科医院は健康な方が多く受診する診療科です。ここで病気にならない状態を長くする方法を学べば、健康寿命を延長することに貢献できると考えています。健康寿命とは、医療や介護に依存しないで生きる期間のことです。
歯科でもオーラルフレイル(口腔機能低下症)や予防歯科と定期健診によって、病気にならず、寝たきりや障害を抱えた老後の時間を短くする試みが始まっています。当院では定期健診の際に口腔がんの初期病変を発見するため、口腔粘膜の診察もしています。予防医学とは、具体的には、自宅でできる生活習慣の改善と検診や予防ワクチンの接種のことです。
体に良い食べ物
魚、果物、野菜、茶色い炭水化物、オリーブオイル、ナッツは体に良いです。それぞれの疾患の予防に効果がある食べ物を以下に挙げます。
高血圧:果物、チョコレート、減塩食
糖尿病:茶色い炭水化物(玄米、そば、全粒粉パン)、果物、野菜、コーヒー、オリーブオイル、ナッツ
脂質異常症:緑茶、ナッツ、魚
高尿酸血症:コーヒー、ヨーグルト
前立腺肥大:大豆
脳卒中・心筋梗塞などの動脈硬化による病気:魚、茶色い炭水化物(玄米、そば、全粒粉パン)、オリーブオイル、ナッツ
がん:魚、オリーブオイル、ナッツ
摂取を制限すべき食べ物・嗜好品
白い炭水化物(米、パン、うどん、パスタ、じゃがいも):糖尿病、脳卒中・心筋梗塞など動脈硬化による病気のリスク
マーガリン:悪玉コレステロールが増える
65度以上の熱い飲み物:食道がんのリスク
砂糖:糖尿病、肥満、脳卒中・心筋梗塞など動脈硬化による病気、むし歯、がん、認知症、脂肪肝のリスク
加工肉(ベーコン、ソーセージ、ハムなど):がん、脳卒中・心筋梗塞などの動脈硬化による病気のリスク
たばこ:がん、喘息、生活習慣病、骨粗鬆症、歯周病、腹部大動脈瘤、更年期障害のリスク
お酒:がんのリスク
行うべき生活習慣
一気に食べない:血糖値スパイクの危険を回避する
7時間の睡眠:認知症の予防
昼寝(1時間以内):アルツハイマー型認知症の予防
一人ぼっちで誰とも話さないのを防ぐ:認知症の予防
ストレス解消(友人や家族との会話、暝想):脳卒中と心筋梗塞の予防
フロス、歯間ブラシ、ワンタフトブラシ、歯ブラシを用いた食後の歯磨き:歯周病と全身疾患の予防
歯科医院での定期健診:歯周病と全身疾患の予防
フッ素の活用:むし歯の予防
なるべく座らない、なるべく立つ:糖尿病、心筋梗塞の予防
運動:高血圧、糖尿病、肥満、大腸がん、閉経後の乳がん、うつ病、骨粗鬆症、認知症の予防
入浴:痛みの緩和、脳卒中と心筋梗塞の予防※高血圧、不安定狭心症などの心臓疾患、妊婦は注意が必要
日光に15分以上浴びる:むし歯、小児や胎児のエナメル質形成不全、骨粗鬆症の予防
がんの初期症状を見逃さない(①体重減少②3週間以上の発熱、食欲不振、吐き気、倦怠感③口または便または尿に出血が混ざる)→疑わしい時には内科受診しましょう。
食べすぎない(カロリー制限):肥満、メタボリックシンドロームを予防し、アンチエイジングにもつながります。ミドコンドリアの好気呼吸を減らすことで、活性酸素を減らし、サーチュインの活性化にもつながり、老化が抑制されます。
検診や予防接種
○75歳までのがん検診
(今から)
胃がんのピロリ菌検診
子宮頸がんの細胞診とHPV検診
(40歳から)
乳がんのマンモグラフィ
肝臓がんのB型・C型の肝炎ウイルス検診
(50歳から)
胃がんの胃カメラ検査やバリウム検査
大腸がんの便潜血検査・大腸カメラ
(55歳から)
肺がんの低線量CT
前立腺がんのPSA検査
○ワクチン接種
新型コロナワクチン
昭和生まれの風疹ワクチン
45歳までの子宮頸がんや咽頭がん・陰茎がんのHPVワクチン
50歳以上の帯状疱疹ワクチン
65歳からの肺炎球菌ワクチン
○65歳からの骨粗鬆症検診
○ヘビースモーカーの腹部大動脈瘤の腹部エコー