歯の移植(歯牙移植)について

失ってしまった奥歯の場所に、自分の「親知らず」を移し替える治療法です。

インプラントや入れ歯とは異なり、自分の歯の組織(歯根膜)を活かせるため、自然な噛み心地を再現できるメリットがあります。

保険適用と費用

条件を満たす場合は、健康保険が適用されます。

区分 内容 費用(目安)
保険適用 親知らずを大臼歯(奥歯)に移植する場合 保険診療の規定通り
自費診療 親知らず以外の歯を移植する場合 50,000円(税別)

保険適用となる条件

以下の条件をすべて満たす場合に、保険での治療が可能です。

  • 移植に使う親知らずの根が、**単純な形(単根・円錐形)**であること

  • 年齢が40歳以下の方

  • 抜歯が必要な大臼歯(奥歯)があること

【ご注意】

抜歯が必要な歯の状態や、お口の環境によっては適応外となる場合がございます。難易度が高いケースでは、連携している東北大学病院をご紹介いたします。


治療のタイミング

お口の状態に合わせて、2つのパターンがあります。

  1. 即日移植: 悪い歯を抜くと同時に、親知らずを移植します。

  2. 待機移植: 悪い歯を抜いた後、2〜6週間ほど期間を空けてから移植します(炎症などのトラブルがある場合)。


治療の流れ

移植から最終的な被せ物まで、計画的に進めていきます。

  1. 移植歯の抜歯:ドナーとなる親知らずを丁寧に抜歯します。

  2. 移植先の準備:移植する場所の形を整えます。

  3. 移植・固定:親知らずを移動させ、糸で縫って固定します。

  4. ワイヤー固定:術後4日ほどで、より強固にワイヤーで固定します。

  5. 固定の解除:2週間〜3ヶ月ほど様子を見て、歯が安定したら固定を外します。

  6. 根管治療:移植した歯の神経の治療(根の治療)を行います。

  7. 被せ物の作製:最後にクラウン(被せ物)を被せて完成です。

ホームページの続きですね。

患者様が治療後のイメージを持ちやすく、かつ**「守るべきルール」がパッと見てわかる**ように整理しました。

特に「禁煙」や「固定の重要性」など、成功率に関わる部分は強調しつつ、メリット・デメリットは公平に伝わる構成にしています。


移植を成功させるための大切なポイント

歯の移植(歯牙移植)は、患者様ご自身のご協力が成功の鍵を握ります。

1. 治療前:お口の環境を整える

移植を成功させるためには、事前の準備が欠かせません。

  • 歯周病の治療: 歯ぐきの炎症を抑えてから手術に臨みます。

  • 正しいセルフケア: ご自宅でしっかり歯磨きができる習慣を身につけていただきます。

2. 治療後:安静と「根の治療」

  • しっかり固定する: 移植した歯が骨と結合するまで、お食事やおしゃべりの際もできるだけ動かさないようにしてください。動いてしまうと結合がうまくいかず、失敗の原因となります。

  • 根管治療: 移植から3週間〜1ヶ月以内に、歯の根の治療(神経の処置)を行う必要があります。


術後の過ごし方とケア

期間 お食事・生活の注意点 歯磨き・お口のケア
当日〜翌日 手術部位に食べかすが入らないよう、固形物を避けた流動食がおすすめです。 無理なうがいは避け、手術部位のブラッシングは控えてください。
1〜3日後 激しい運動・飲酒は控えてください。喫煙は成功率を著しく下げるため、禁煙をお願いします。 必要以上のうがいは避け、清潔を保ちます。
〜1ヶ月 患部を安静に保ちます(固定期間の目安は約1ヶ月です)。 専用の柔らかい歯ブラシと洗口液を使用して、優しく清潔を保ちます。
1ヶ月以降 通常通りの生活に戻れます。 通常のケアが可能ですが、歯ぐきを傷つけないよう注意してください。

メリットとデメリット

メリット

  • 自然な噛み心地: 歯のクッションである「歯根膜」を残せるため、食感や噛み応えを感じられます。

  • 周囲の歯に優しい: ブリッジのように隣の健康な歯を削る必要がありません。

  • 矯正治療が可能: インプラントと異なり、移植後の歯は矯正で動かすことができます。

デメリット・リスク

  • 高度な技術が必要: インプラントよりも処置が複雑で、難易度が高い治療です。

  • 2箇所の外科手術: 「親知らずを抜く場所」と「移植する場所」の2箇所の手術が必要です。

  • 適応の制限: 高齢の方や、重度の歯周病がある場合は成功率が下がる可能性があります。

  • メインテナンス: 神経を抜く処置を行うため、通常の歯よりも丁寧なケアが必要です。


起こりうること(副反応とリスク)

手術に伴い、以下の症状が出る可能性があります。

  • 術後の腫れ、痛み、内出血、発熱

  • 傷口の感染や、治癒が遅れる可能性

  • 一時的な唇や舌のしびれ(知覚麻痺)

  • 生着率(成功率)は100%ではありません。 事前の診査・診断でリスクを十分にご説明いたします。