歯の移植 保険適用と自費の場合

親知らずを大臼歯に移植することは保険適応となっています。(智歯以外の歯を移植する場合は自費となります。歯の移植の料金は5万円(税抜き)です。)

親知らずの歯根が単根で円錐形、40歳以下の方、抜歯が必要な大臼歯がある場合になります。
悪い大臼歯の抜歯と同時に移植する場合と、悪い大臼歯の抜歯後2〜6週間の待機期間を置く場合(病気などトラブルがある場合)があります。難易度が高い場合は、東北大学病院を紹介致します。

術式

①移植歯を抜歯します。
②移植する部位の孔を整えます。
③移植歯を移動させ、縫合固定します。
④術後4日後ワイヤーで固定します。
⑤2週間から3ヶ月で固定を解除します。
⑥根管治療を行います。
⑦クラウンを作ります。

移植を成功させる注意事項

移植の前に歯周病の治療を行う、ご自宅で正しい歯磨きをする習慣を身に着けていただくなど、お口の環境を整えることが重要です。移植を行ったら、3週間から1か月以内に神経の処置(歯の根の治療)をすることが必要です。移植した後は安静にしていただき、「移植歯(ドナー歯)」とあごの骨が結合するのを待つ必要があります。お食事をしたりおしゃべりをしたりする際も、なるべく「移植歯(ドナー歯)」が動かないようにしっかり固定することが重要です。この固定ができていないと、歯を支える組織の再生がうまくいかず骨への結合ができなくなり、歯の移植の失敗につながってしまいます。移植した歯を固定する期間は人それぞれ異なりますが、目安としては1か月程度です。

・手術当日・翌日のお食事は手術部位に食べかすが入り込まないよう固形物は避け、流動的なお食事が好ましいです。
・術後1〜3日は必要以上のうがいは避け、手術部位の歯ブラシは避けてください。また、激しい運動や飲酒、喫煙も控えてください。特に喫煙は百害あって一利なし。可能な限り長期間の禁煙をお願いします。
・術後1ヶ月までは洗口液でのうがいと、手術後用の専用歯ブラシでの歯磨きで手術部位を清潔に保ちます
・術後1ヶ月を過ぎたら通常通りのケアで問題ありませんが、歯ぐきを傷つけないよう注意しましょう。

メリット

・歯にかかる刺激を伝える「歯根膜」が活かされるので、食べ物の歯ざわりを感じやすいです。
・歯根膜がクッションになるため、噛む力を和らげられ、噛み合う歯を傷つけません。
・ブリッジのように周囲の健康な歯を削らないので、負担になりません。
・移植した後に矯正治療が可能なので、長期的に見て利点が大きいです。インプラントの場合は埋め込んだ後に動かすことができません。

デメリット

・インプラントよりも技術的に難しい。
・外科手術が必要で、その外科手術を2か所の部位に行わなければならない。
・歯周病がある方、ご高齢の方の場合、成功率が下がる可能性があります。
・歯髄を抜くため、虫歯になりやすくなります。

起こりうること

・術後の腫脹、疼痛、発赤、内出血、発熱の可能性があります。
・創部の感染と治癒遅延の可能性があります。
・術後下唇や舌の知覚麻痺の可能性があります。
・生着率は100%ではありません。