小児口腔機能発達不全症の診断は、18歳未満の赤ちゃんから高校生までにおいて、

食べることがうまくできない
話すことがうまくできない
口呼吸(ぽかん口)になっている

などを見つけ、改善し、かみ合わせや歯並びを良くしたり、認知機能の発達や全身疾患の予防を行うことを目的としています。

8020達成者に反対咬合(受け口)、開咬(前歯で歯の接触が無い)方がほとんどいないことから、歯を長期的に健康に保つには、歯並びが重要なことがわかります。

口腔機能発達の目安

生後5ヶ月 固形物を舌で排除する反射がなくなる生後5ヶ月ごろが離乳開始のサイン。
1歳半頃 第一入臼歯の萌出。奥歯でのすりつぶしが可能になる。離乳完了。有意味の言葉の数が増加。
2歳頃 口(唇)を閉じて食事できる。
3歳頃 乳歯列完成。前歯でかみ切り、奥歯ですりつぶせる。道具を使った食べ物の取り込み、一口量の調節ができる。
4歳頃 ぶくぶくうがいができる。指しゃぶりはやめている。舌で上唇を舐めることができる。
5歳頃 発音と基本的な運動が完成する。
6歳頃 6歳臼歯が生えてくる。ぶくぶくうがいができる。
12歳頃 アデノイド、扁桃腺の肥大が生じやすい。

口呼吸について

鼻呼吸が行えないか、あるいはその割合が少なく、長時間にわたり口で呼吸することです。くちゃくちゃ食べ、食べこぼし、流し込み、誤嚥(間違って気管に食物が入ってしまう)などへの影響があります。口呼吸の有病率は3割程度と言われます。口呼吸の小児の特徴は、①鼻の穴によく手を触れる、②よく聞き返す、③口が渇きやすい、④唇にしまりがない、⑤食べ物を食べこもぼすがあります。

事前アンケートについて

離乳完了前と離乳完了後に分けてチェックします。
離乳の完了とは、母乳または育児用ミルクを飲んでいない状態を言うのではありません。
離乳の完了とは、形ある食物をかみつぶすことができるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳またはミルク以外の食物から摂取できるようになった状態を言います。

アンケートと医療機器による検査を行い、診断して、機能訓練や指導を行います。文書によって指導内容を提供します。必要に応じて専門医療機関をご紹介致します。

指導・治療や専門病院紹介の例

・親指を吸うくせ→4歳まで中止するように指導(開咬や上顎前突が残るため)
・飲み込むときに舌を前に出すくせ→機能訓練にて修正(開咬の原因となるため)
・舌小帯強直症→当院にて舌小帯切除術、機能訓練
・鼻咽腔閉鎖不全、扁桃腺の肥大、睡眠時無呼吸の疑い、鼻詰まり→耳鼻咽喉科紹介

当院で導入している医療機器のご紹介

口唇閉鎖力測定器:ボタンを唇で加え、フロスを介して引っ張ることで口唇閉鎖力を測定します。年齢および 性別に応じた標準値と比較し、年齢毎に診断します。低い値(-1SD 以下)を示し、安静時や摂食時に口唇閉鎖を認めない・口呼吸などの所見を有する場合、口唇閉鎖力が不足している(口唇閉鎖不全・ぽかん口)と診断します。