飲み込みにくさの原因?「サルコペニア」とは
「最近、筋肉が落ちたな」「飲み込む力が弱くなった気がする」 そう感じることはありませんか? 全身の筋肉量が減ると、実は「飲み込むための筋肉」も減ってしまい、飲み込みの障害(嚥下障害)につながることがあります。
サルコペニア(筋肉減少症)って何?
年齢を重ねたり、病気がきっかけで、全身の筋肉量や筋力が減ってしまう状態を「サルコペニア」と言います。
筋肉が減ると、単に力が弱くなるだけではありません。
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転倒や骨折をしやすくなる
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外出が億劫になり、家に閉じこもりがちになる
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将来的に、介護が必要になるリスクが高まる
といった、生活への大きな影響が出てきます。 しかし、サルコペニアは早期に発見し対策することで、進行を防ぎ、健康な状態を維持することができます。
どれくらいの人がなるの?
年齢とともに、サルコペニアになる方は増えていきます。
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70歳未満の方:約5人に1人(約20%)
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80歳以上の方:約2人に1人(50%以上)
決して珍しいことではありません。「年のせい」とあきらめず、早めの対策が大切です。
なぜ筋肉は減るの?
主な原因は「加齢」と「生活習慣・病気」の2つです。
1. 年齢による体の変化 年齢を重ねると、筋肉を作るホルモンが減ったり、筋肉を動かす神経の働きが弱まったりします。これは自然な体の変化です。(以前の専門用語部分をこのように統合しました)
2. 生活習慣や病気の影響
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あまり体を動かさない生活
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食事の量が減り、栄養が足りていない(特にタンパク質不足)
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他の病気の影響
これらが重なると、筋肉の減少が加速してしまいます。
サルコペニアの診断
2 BMI:体重kg ÷ (身長m)2が21以下
3 75歳以上
これらが満たされると運動器疾患960人で調査したところ約80%の診断割合であったことを福島県立医大栗田宣明特任教授の研究で報告されています。希望があれば、東北大学病院の加齢・老年病科などにご紹介いたします。
サルコペニアの摂食嚥下障害(食べる・飲む込むの困難)の診断
ひょっとしてサルコペニア? 4つのチェックポイント
「最近、体力が落ちた気がする…」 サルコペニア(筋肉量の減少)は、病院での専門的な検査で診断しますが、日常生活の中でもサインに気づくことができます。
主なチェックポイントは、「筋力」「体の動き」「筋肉の量」、そして「飲み込む力」です。
1. 【筋力】手や腕の力が入らない
ペットボトルのキャップが開けにくくなったり、タオルが絞りにくくなったりしていませんか?
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目安(握力): 男性 26kg未満、女性 18kg未満
2. 【身体機能】歩くのが遅くなった
以前より歩くのが遅くなったと感じたり、青信号の間に横断歩道を渡りきれなくなっていませんか?
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目安(歩行速度): 秒速 0.8m以下(時速 約2.9km以下)
3. 【筋肉量】ふくらはぎが細くなった
以前に比べて、手足の筋肉がやせて細くなっていませんか?特に「ふくらはぎ」は分かりやすい目安になります。
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自分でできる目安(ふくらはぎの最も太い部分): 男性 34cm未満、女性 33cm未満 ※上記は在宅で生活されている方の目安です。病院では専用の機器で正確な筋肉量を測定します。
4. 【飲み込み】むせることが増えた
食事中にむせたり、飲み込みにくさを感じることはありませんか?これは「舌の力」が弱まっているサインかもしれません。
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病院では、専用の器具を使って舌の力(舌圧)を測定します。
サルコペニアのリハビリテーション栄養
| 原因となること | これからの対応・対策 | |
| 加齢 | 年齢による変化
40歳以降、筋肉の量は1年に約0.5〜1%ずつ自然に減っていきます。全身だけでなく、飲み込みに関わる筋肉も衰えるため、飲み込みにくさ(嚥下障害)の原因になります。 |
運動と食事で筋肉を維持する
全身の筋力トレーニングを行う。(例:スクワットなど無理のない範囲で)飲み込みの筋肉を鍛える専門的なリハビリテーションを行う。筋肉の材料となる「タンパク質」や特定のアミノ酸を意識して積極的に摂る。 |
| 活動 | 動かない生活(活動不足)
家に閉じこもりがちになったり、入院などでベッドの上に寝たきりの状態が続くと、筋肉は急速に衰えてしまいます。過度な安静は逆効果になることもあります。 |
できるだけ体を動かす習慣を
不必要な「とりあえず安静」は避け、可能な範囲で動くようにする。入院した場合でも、できるだけ早くベッドから離れ、自分の口から食事をとることを目指す。(早期離床・早期経口摂取) |
| 栄養 | 栄養が足りていない(低栄養)
食事全体の量が減り、エネルギーやタンパク質が不足している状態です。病院で栄養の少ない点滴だけの状態が続くことも原因となります。 |
筋肉をつけるための「攻め」の栄養摂取
エネルギーとタンパク質が十分に足りるよう、食事内容を見直す。</li><li>現状維持ではなく、体力をつけ筋肉を増やすための積極的な栄養管理を行う。 |
| 疾患・外傷 | 病気やケガの影響
大きなケガや急な病気による体へのダメージ。また、がんや慢性の病気によって食欲がなくなり、著しく体力が奪われる状態(悪液質など)も原因となります。 |
病気の治療とトータルサポート
まずは原因となっている病気の治療をしっかりと行う。</li><li>治療と並行して、栄養、運動、お薬の調整、そして心のケアまで含めた、総合的なサポートを行う。 |
サルコペニアの嚥下障害のトレーニング
トレーニングは週3回を目安にしてください。体調や筋力向上に伴い、適宜回数やセット回数を変えても構いません
舌の力を向上させる! ペコぱんだ
ペコパンダを頑張って押しつぶせる硬さのものを5回3セット。
飲み込む力を鍛える! ゴムボールあご引き抵抗運動

喉の周りの筋肉を鍛えて、飲み込みをスムーズにするトレーニングです。柔らかいゴムボール(10cm程度のもの)を用意して行いましょう。
1. 準備(正しい姿勢)
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イスに深く座るか、真っ直ぐ立ちます。
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肩の力を抜き、軽く後ろに引いて胸を張ります。
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ボールをあごの下に挟みます。
2. トレーニングのやり方
「ボールをあごでギュッとつぶす」イメージで行うのがコツです。
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じわじわ耐える運動(持続) あごを強く引いて、ボールを全力で押しつぶしたまま30秒間キープします。 ※呼吸を止めないように注意しましょう。
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繰り返し動かす運動(反復) あごでボールをギュッと押す、力を抜く、という動きを10回繰り返します。
3. 回数の目安
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キープする運動: 30秒 × 3回
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繰り返す運動: 10回 × 3セット
【ポイント】 ご自身の体調に合わせて、無理のない範囲で回数を調整してください。首や肩に痛みが出る場合は、力を加減するかお休みしましょう。
もしもの時の「吐き出す力」を鍛える!ピロピロ笛トレーニング
もし食べ物や飲み物が誤って気管に入りそうになっても、勢いよく「コンコン!」と咳き込んで外に出すことができれば、肺炎の予防につながります。 この「吐き出す力(呼吸の力)」を楽しく鍛えるのが、おもちゃのピロピロ笛(吹き戻し)を使ったトレーニングです。
トレーニングのやり方

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お腹に空気をためる 背筋を伸ばし、鼻から深く息を吸ってお腹を膨らませます(腹式呼吸)。
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一気に「ピロピロ」を伸ばす! 笛をくわえ、一気に息を吹き込んで最後まで伸ばしきります。
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そのままキープ(5〜10秒間) 笛が戻ってこない程度の「弱い息」を出し続け、伸ばした状態をキープします。 ※ここが肺活量と息のコントロールを鍛えるポイントです!
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ゆっくり戻す 最後に息を吐ききって、笛を巻き戻します。
回数の目安
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1セット10回 を、1日 2セット 行いましょう。
【ここがポイント!】 笛を伸ばし続けることで、喉や肺の周りの筋肉が鍛えられ、力強く咳き込む力が身につきます。10秒が難しい場合は、まずは3秒、5秒と、できる範囲から始めてみましょう!
修正のポイント
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目的の明確化: 「誤嚥したものの排出」という言葉を、「もしもの時にしっかり吐き出す力(むせる力)」と表現し、なぜこの訓練が必要なのかを分かりやすくしました。
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動きをイメージしやすく: 「最小呼吸で吹き続ける」という表現は少し難しいため、「笛が戻ってこない程度の弱い息を出し続ける」と具体的に説明しました。
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ポジティブな声かけ: 「楽しく鍛える」「まずは3秒から」といった一言を添えることで、読者のモチベーションを高める構成にしました。
食べ物の通り(食道)をスムーズにするトレーニング ブリッジ嚥下(えんげ)訓練
「薬が喉や胸に残る感じがする」「胃酸が戻ってくる(逆流)」といったお悩みがある方におすすめの訓練です。食道の働きを整え、食べ物を胃へ送り込む力をサポートします。
仰向けで腰を浮かせた「ブリッジ」の姿勢で行う、少し珍しいトレーニングです。
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姿勢をつくる: 仰向けに寝て両膝を立て、お尻をゆっくり持ち上げます(ブリッジのポーズ)。
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唾液を飲み込む: その姿勢をキープしたまま、唾液を「ゴクン」と飲み込みます(空嚥下)。
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回数: 10回を目安に行いましょう。
【なぜ効果があるの?】 重力に逆らう姿勢で飲み込むことで、食道の入り口を開く筋肉や、食べ物を送り出す筋肉がより強く鍛えられます。 ※腰や首に痛みがある方は無理をせず、お尻を浮かせる高さを調整してください。
サルコペニアを防ぐ「食事」と「運動」
筋肉を減らさない(サルコペニア改善)ためには、**「材料を摂ること」と「刺激を与えること」**のセットが欠かせません。
1. 筋肉の材料「タンパク質」をたっぷりと
どんなに運動をしても、材料が足りなければ筋肉は増えません。
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ポイント: 肉、魚、卵、大豆製品などを毎食しっかり摂りましょう。
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もっと効果的に: 筋肉の合成を助ける「アミノ酸(BCAAなど)」を意識するのもおすすめです。
2. 下半身を鍛える「スクワット」
全身の筋肉の約7割は下半身に集中しています。効率よく筋肉を増やすにはスクワットが一番の近道です。
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やり方: 足を肩幅に開き、椅子に座るイメージでゆっくりお尻を下げ、元に戻ります。
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回数の目安: 10回を1セットとし、1日3セットを目指しましょう。
【安全のために】 足腰に不安がある方は、椅子の背もたれや机に手を添えて行っても十分効果があります。
下記の資料をダウンロードしてお使いください。
引用
日本摂食嚥下リハビリテーション学会ホームページ
