むし歯治療の本当のお話 〜「削って詰める」から「予防」へ〜

「歯が痛くなったら歯医者に行けばいい」と思っていませんか?

最新のデータから見えてきた、むし歯と歯の健康に関する重要なお話をお伝えします。

1. 治療した歯は、再びむし歯になりやすい

  • 歯科医院で行われている処置の多くは、新規のむし歯ではなく、過去の修復物の周囲から発生する二次う蝕(むし歯)による再治療です。

  • 一度削って詰めた歯は、数年から十数年の単位で再治療を繰り返します。

2. 年齢とともに増える「歯の根元のむし歯」

  • 加齢や歯周病によって歯肉が退縮すると、エナメル質のない象牙質(歯の根っこ部分)が露出します。

  • この部分は酸に弱く、非常にむし歯になりやすいです。

  • 65歳以上の方では、残存歯の増加に比例して根面う蝕(根元のむし歯)の経験率が有意に上昇しています。

3. フッ素の活用と環境づくりが大切です

  • むし歯には、個人のブラッシング等の努力だけでなく、環境要因が与える影響があります。

  • 所得水準や居住地域のフッ化物利用環境、歯科医院の密度が、むし歯の重症化率に相関しています。

  • 全体的なむし歯数は減少傾向にありますが、ネグレクトを含む家庭環境や経済的困難を抱える層など一部のハイリスク層にむし歯が集中する「二極化」がデータ上で鮮明になっています。

  • フッ化物配合洗口液や高濃度フッ化物配合歯磨剤(1450ppm)の普及が、若年層のむし歯減少に寄与しました。

  • 特に、学童期における集団フッ化物洗口の実施は、成人以降の未処置歯数にもポジティブな影響を与えています。

4. 定期検診が「歯」と「お金」を守ります

  • 歯科訪問を「痛みが出てから」行う方と「定期的に受診する」方を比較すると、長期的には定期受診をしている方の方が残存歯数が多いです。

  • 定期的なメンテナンスを受けている患者様は、結果として抜歯や義歯作製といった重症化を防ぐことができます。

  • そのため、生涯を通じた歯科および医科全体の医療費が低く抑えられる傾向にあります。

大切な歯を一生守っていくために、当院で「痛くなる前の定期的なメンテナンス」を始めませんか?

当院の治療内容のご紹介

むし歯はプラーク(歯垢)で生きている口腔常在菌(口に住んでいる細菌)たちの環境の変化(酸性になる)や生態の変化(酸性環境で生きられる細菌が増える)によって生じる非感染性の疾患(病気)であると考えられています。


日常生活において、むし歯の発症予防・進行抑制を図る方法をご紹介致します。
1.1日2回以上の歯磨きを行う。
2.間食をなるたけしない、3食の前後に間食していたものを食べるようにする。
3.間食をしたらなるたけ早く歯磨きをする、忙しいときは水でうがいするあるいはお茶などを飲む。
4.やや酸性(pH5)になっても歯が溶けない(脱灰しない)働きがあるフッ素を利用する。フッ素は適正な濃度で使用すれば健康に役立ちます。
1450ppmの高濃度フッ素の歯磨き粉の使用をすること、そして、少量の水でうがいしてフッ素を流しすぎないこと。インプラントを入れている方も使用できます
フッ素洗口を行うこと。
フッ化物配合シュガーレスガム(商品名:POs-Ca Fポスカエフ;江崎グリコ) は、フッ化物配合であるため、歯のフッ素を取り込みが行われ、歯の再石灰化を促進します。

5.水、お茶、紅茶、麦茶、コーヒー、牛乳は頻回に口にしてもよい。
6.酸性の飲料・食品すなわち炭酸飲料、スポーツドリンク、ワイン、お酢、果物は頻回には口にしない
7.糖を頻回に摂取することになるのを防ぐため、あめ、グミ、ガム、キャラメル、チョコレートなどを頻回には口にしない
8.口腔乾燥症がある場合、唾液腺マッサージやシュガーレスガムを噛むといった対策を行う。
9.ビタミンDカルシウムマグネシウムの摂取量を維持する。ビタミンDを得るために日陰で30分日光浴をする。
ビタミンDを多く含む食材:魚、肉、卵、きのこ(野菜には含まれていない)
カルシウムを多く含む食材:牛乳、乳製品、小魚、大豆食品、野菜、海藻
マグネシウムを多く含む食材:海藻、玄米、胚芽米、ナッツ、大豆食品
10.高GI値の食品をなるたけ摂取しない。基本的にGI値の高い食品は炭水化物。ご飯やパン、うどんといった麺類など、誰もが日常的に食べているものは高GI値のものが多くなっている。低GI値なのがパスタや蕎麦、玄米やライ麦パン。
11.炭水化物を3大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)の中で60%以下にして、過剰に取りすぎない。
12.噛めないと炭水化物を摂取する割合が増えるので、噛めるように入れ歯やブリッジ、インプラントの治療を行うことが大事。
13.生後12歳までは母乳によるむし歯のリスクは低いですが、それ以降も母乳を続けた場合、リスクは増加します。

思い当たるところや参考になるところがあれば日頃の習慣を直してみてください。

歯科医院でできることをご紹介致します。
1.機械を使った歯の清掃

 

2.9000ppmの高濃度フッ素の塗布:3カ月に1回。リスクの高い小児、白斑のある初期むし歯や65歳以上高齢者の初期根面むし歯に行います。歯根部はう蝕進行が早いため有効とされています。インプラントを入れている方には行いません。高濃度のフッ化物塗布を行うと、歯面にフッ化カルシウム(CaF2)に類似したものが沈着し、これが長期にわたって フッ素イオンを徐放すると考えられています。

3.フッ素洗口指導:むし歯リスクの高い6歳以上の小児に対して行います。経済的な観点も踏まえて週1回法をおすすめします。

4.むし歯のサホライド塗布:塗ったところが黒くなります。幼児のむし歯や高齢者の根面むし歯に使います。

5.シーラント:小児の生えたての歯の溝に行います。

 

当院で上記の保険診療を行っておりますので、ご相談下さい。