歯根の先に病巣(膿の袋)ができて歯ぐきの腫れや痛みがでた場合、根管治療(歯根の中の汚れを除去して消毒薬を入れる)を行うことでほとんどは治癒へ向かいます。しかし根管治療を続けても治らない場合や、根管が閉塞していたり、曲がっていたり、金属の土台の除去が困難、長いブリッジなどで根管治療ができない場合には、歯根の手術をすることで抜歯せずに助けることができます。当院では広範囲な嚢胞の場合は大学病院に紹介しております。中程度の骨欠損の場合は、人工骨や人工吸収性メンブレンなどを使用しますので、自費診療になります。保険の歯根端切除後に骨造成術5万円(税抜き)を行います。
自費診療に関しては、お一人様3回まで30分の無料カウンセリングをご用意しております。必要あれば、ぜひご利用ください。
歯根端切除術・歯根嚢胞摘出術(保険診療)
手術法は歯根端切除術といい、根尖病巣の摘出、歯根端の切除、逆根管充填から成り立っています。
まず、局所麻酔を行い、歯ぐきを切開して骨に小さな穴を開けて膿の袋を取り除きます。
そして歯根先端を3mm程度切除したのち、マイクロミラーで切断面の根管と歯質をチェックし感染原因部を探します。
原因のほとんどは根管です。そのため超音波チップで切断面の根管に穴を形成して清掃した後、生体親和性の良いバイオセラミックスを流し込み、逆根管充填して細菌繁殖部を完全封鎖します。
次いで術部をよく洗浄した後、歯ぐきを戻して縫合します。
術後に鎮痛剤と抗生剤を処方します。 手術の翌日くらいに消毒、1〜2 週間後に抜糸、1~2か月後と1年後に経過を診るために来院していただきます。
術後に以下の症状が出ることがありますが適切な処置をします。
・痛み・・・・・1~2日間あり鎮痛剤を1~2回飲むことでおさまります。
・唇や頬の腫れ・歯ぐきや唇が少し腫れますが、術後2~3日目がピークで約1週間後にはおさまります。
・皮下出血・・・頬や唇の皮膚に紫色や黄色のあざが出ることがありますが、1~2週間で自然に消失します。
・感染・・・・・まれに感染を起こし痛みや腫れが生じることがあります。
・しびれ感・・・歯ぐきの切開部周辺に軽いしびれ感や違和感が残ることがありますが自然に回復します。
予後についてですが、手術成功率は約90%以上で良好です。再発する場合もありますが、その原因は歯根そのものが腐っている場合や、歯根に亀裂や破折がある場合などで、再手術や抜歯の適応となります。予後をチェックして抜歯にならないように手術の1、2、3年後に経過観察のために来院して頂きます。レントゲン写真を撮って病巣の再発がないか、歯根の周りに正常な骨が再生されているかなどをみます。途中で歯ぐきの腫れや痛みなどの症状が出た場合や、定期検査日に来院できなかった場合は、電話で予約のうえ来院ください。
骨移植術を併用する場合(自費診療)
自費になりますが、骨欠損が大きい場合や骨回復が見込めない形態の場合、予後不良の場合は人工骨や人工膜を用いた骨移植術を併用する場合があります。骨移植術は自費診療で5万円(税抜)で行っております。
人工骨ボナーク(東洋紡)を挿入したところです。
吸収性の人工膜サイトランスエラシールドを用いて封鎖しています。
最後に縫合閉鎖致します。