ブラッシングは虫歯や歯周病の予防、歯周病の治療に非常に重要です。虫歯は痛みを感じますが、歯周病は歯を支える骨が溶けてしまう病気で、痛みを伴わずに、気づかずに進行するので注意してください。また、歯肉の慢性的な炎症、口の細菌が血液や肺へ入ることによる全身への負の影響を抑えることは、多くの全身疾患の発症予防・重症化予防になります。良質な口腔常在菌叢に戻し、その状態を保つことが大事です。

上図で示されている病気の他にも、最近では、歯周病原細菌が腸内細菌叢に影響を与えること、そのことが、関節リウマチや非アルコール性脂肪疾患、動脈硬化症、癌などを引き起こす要因となっていることが報告されています。また、虫歯が進行して生じる根の病気や歯周病が、ウミがたまった膿疱(のうほう)と呼ばれる皮疹が手のひらや足の裏に数多くみられる掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)を作り出す原因となっています。

したがって、定期検診やメインテナンス、虫歯の治療も重要となりますが、日々のブラッシングが最も重要です。

歯周病の治療においては、ブラッシングがメインであり、歯科医師や歯科衛生士が行う歯石除去や手術や歯の固定などはサブと言えます。

そこで、日常のブラッシングの基本的な方法をお知らせしたいと思います。歯ブラシ一本でブラッシングされる方も参考にしてください。さらに汚れを落としたい方は、補助器具を使ってみてください。

歯と歯の間の汚れ(プラーク、歯垢)を除く方法の一つに歯間ブラシがあります。細いサイズから試してみてください。入らないところはフロスを使います。どちらも手前と奥の歯面に沿わせて2〜3回動かして汚れをかき出します。

フロスの方がコンタクトを含めた歯全体の汚れがとれ、どの歯と歯の間にも入るので、万能といえます。歯間ブラシは大臼歯の根分岐部(根と根の股のところ)にトンネルができているときの清掃にも役立ちます。

その後、歯ブラシを用いたブラッシングを行います。

歯ブラシの当て方を説明します。外側(唇頬側)は90度に当てます。内側(舌側)は45度に当てます。歯ブラシの先が歯面にあたっているかをよく確認してください。横に数mm振動させるように磨きます。

前歯の裏側は縦磨きで汚れを落とします。縦方向に数mm振動させて磨きます。

一番後ろの歯の遠心面(奥の面)の汚れを落とすには、歯ブラシのヘッドを外側(頬側)から内側(舌側)へまわりこませます。この際少し口を閉じると、頬が緩んでやりやすくなります。内側からまわりこませる方法もあります。

歯が乱れているところは縦磨きが有効です。ストロークは小さくします。外側(唇頬側)は歯ブラシの先端を利用して、内側(舌側)は歯ブラシの最後端(かかと、トウ)を利用してブラッシングすると汚れを取りやすいです。

規則的に歯ブラシを歯面に当て、磨き残しがなくなるように、歯ブラシを当てる順序を決めておくと良いです。

①裏側(舌面)と一番後ろの歯の遠心面(奥の面) ②外側(唇頬側) ③噛み合わせ(咬合面)

さらに、汚れが落としにくいところに用いる補助器具があります。

ワンタフトブラシは、歯が乱れているところ、低い位置の親知らず(智歯)、義歯と接する歯の歯頸部、孤立した歯、一番後ろの歯の遠心面(奥の面)、矯正装置のブラケットやワイヤーの周囲などの汚れをとるときに使います。

Proxysoftはブリッジのダミーの歯と歯ぐきの境目の汚れをとることに使います。